前回は営業保証金とは何か、また供託方法について学びましたが、
今回は実際にお客さんに支払う状況になったときと、
供託している営業保証金を取り戻す方法について学んでいきましょう!
お客さんに損害が発生したら?
業者とお客さんの取引中に、お客さんが損害を受けたとき、
供託所に預けた供託金である営業保証金が支払われます。
これを【還付】といいます。
営業保証金の還付を受けられるのは、以下の人たちだけです。
➀宅建業者と宅建業に関する取引をしたひと
➁宅建業者に宅建業に関する取引の媒介・代理をしたひと
※ただしこの人たちが宅建業者の場合は、還付を受けられません

取引とありますが、
取引に値しない場合ってなんでしたっけ?しょうこさん!

えぇ?!いきなりですね💦
えーと…確か、自分で貸す場合は取引じゃないんですよね!

そのとおり♪じゃあ~
宅建業者から建設工事を請け負った建設業者は、
宅建業者が倒産して請負金をもらっていないですが
営業保証金から弁済をうけることが出来ますか?

えーと…できないですよね…?
請負契約は宅建業に関する取引ではないので
当てはまらないと思います。

せいかーい!
こういう感じの問題で【取引】というワードが
ひっかけポイントとして出てくるので注意してね

こういう風にひっかけてくるってことね!
少しずつ分かってきた気がする~
<還付>
もとの持ち主に返すこと。
特に、裁判所や行政機関が本来の所有者に返すこと。返還。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
還付から補充供託
取引によって消費者に損害が生じたときは
営業保証金の中からお客さんに弁済すなわち【還付】されますが、
関係性がわからなくなりやすいので、下図をみながら確認しましょう。

まず、宅建業者とお客さん間で宅建業に関する取引をしましたが、
その取引でお客さんに損害が発生したとしましょう。
①請求
お客さんは損害が発生したら、
直接、供託所に供託物払渡請求書を提出して請求します。
②還付
供託所はお客さんにお金を還付します。
③供託額不足の通知(供託所➡免許権者)
供託所はお客さんにお金を還付したことにより、
営業保証金が規定の金額に満たなくなるので、
供託所は免許権者に
「補充供託してね~って業者に伝えといて」
と通知書を送付します。
➃供託額不足の通知(免許権者➡宅建業者)
免許権者は宅建業者に
「この通知書を受領した日から2週間以内に供託所に補充供託してね」
と通知します。
➄補充供託
宅建業者は通知書を受領した日から2週間以内に、
供託所に補充供託をしなければなりません。
⑥届け出
宅建業者は補充供託した日から2週間以内に免許権者に、
「供託所に補充供託しましたよ~」という旨を
届け出なければなりません。

➄通知書を受領した日から2週間以内の補充供託
⑥補充供託した日から2週間以内の免許権者への届出
これらに違反した場合は業務停止処分になっちゃいます~

供託したのに届出しなかったら業務停止になっちゃうってことか!
お金のことだからとても厳しいわね…

あと、よく出題されるのが
通知書が届いた日から2週間が正解だけど
通知書を発行した日から2週間とかでひっかけてくるので
気を付けようね~
取戻し
取戻しは言葉通り、取り返すという意味ですね。
営業保証金が不要になった場合に、宅建業者が供託所に対して
「営業保証金をかえしてください~」ということです。
営業保証金が不要になる場合はいくつかあります。
➀免許失効した
(免許の更新をしなかった、倒産・解散・廃業の届出をした、死亡・合併)
➁免許取消処分を受けた
➂一部事務所の廃止により、供託額が超過した
➃有価証券を含む供託をしている場合において
主たる事務所が引っ越しして、
新事務所の最寄りの供託所に営業保証金を供託したのちに
旧事務所の最寄りの供託所から供託金を取り戻すとき
➄宅建業者が保証会員の社員となり
営業保証金の供託を免除されたとき(※保証会員は次回説明します)
➀~➂基本的な取り戻し方法
取戻ししたくとも、還付請求者(お客さん)がいる可能性があります。
↓
なので、宅建業者は6か月間を下回らない期間を決めて、
還付請求者に「請求される方は申し出てくださいね」と公告します。
↓
この公告をしたときは、宅建業者は遅滞なく、
その旨を免許権者に届出なければなりません。
↓
期間内に還付請求者から申し出がない場合は
供託した営業保証金取り戻すことができます!
すぐに取戻しOKな場合(公告しなくてOK!)
★営業保証金が不要になる➀~➂が発生して10年が経過したらすぐに取戻しOK
★➃➄のときはすぐに取戻しOK
保管替え
さきほどの【取戻し】の➃の場合は、すぐに取り戻しOKですよ~というお話でしたね。
➃有価証券を含む供託をしている場合において
主たる事務所が引っ越しして、
新事務所の最寄りの供託所に営業保証金を供託したのちに
旧事務所の最寄りの供託所から供託金を取り戻すとき
現金のみで供託している場合は宅建業者は
供託所に対して【保管替え】請求をしなければなりません。
移転前の主たる事務所の最寄りにある供託所A、
移転後の主たる事務所の最寄りにある供託所Bとします。
↓
宅建業者が主たる事務所を東京から大阪に引っ越します。
↓
宅建業者は遅滞なく供託所Aに【保管替え】請求します。※手数料を納めます。
↓
供託所Aから供託所Bに営業保証金が【保管替え】されます。
保管替えは簡単にまとめると
「主たる事務所の移転で、最寄りの供託所が変わったので、
営業保証金をそちらに移してください」ということですね。
さいごに
営業保証金を2回に分けて説明いたしましたが、いかがでしたでしょうか?
難しい言葉をまりも風の優しめの表現?会話風?に変えている部分がありますが、
実際にはもっと硬い表現で出題されます。
難しい言葉を自分なりに言葉に置き換えることができれば
問題が解きやすくなります。
また、宅建士としての実務で、35条書面などの説明を行うと思いますが
お客さんに「どういう意味ですか?」と聞かれたときに
分かりやすく説明できるようにしておきたいですよね。
今後も難しい表現が多々出てきますので、
なんだこの語句は?とおもったらお手持ちの参考書やネットで検索して
腹おちしながら勉強を進めていきましょう!
では今回はここまで~ 売買~(^.^)/~~~